技能が高い労働者は賃金が高くなり、技能の低い労働者は賃金が低くなる。だからといって雇用主が安易に無理難題を押し付ける問題を「ホールドアップ問題」という。
技能・技術というには、一般的なものもあれば個々の職場場に応じた特殊なものも多々ある。他の市場で認められない独特な技術だとホールドアップ問題が起こりやすくなる。
・買い手独占
商品の売り手は多数いるのに、買い手は1社だけという状態。労働市場の場合は人を雇う会社が1社だけを指す。これは各地域によって起こりうる問題である。簡単に移住などが困難な場合、雇用主側で賃金体系を自由に設定出来る不平等が起こる。
これらの不平等を解決するのが、最低賃金の引き上げ等の政策である。最低賃金制度は労働者を守る制度なのだ。
この最低賃金制度を様々な角度から検証していくと、買い手独占市場などでは最低賃金の引き上げが労働供給を高めるという事が分かった。
この最低賃金制度導入の歴史を検証していくと大変面白い結果が分かる。アメリカというと常に格差が大きい国というイメージがあり、フランスは常に平等な国というイメージがあるが、1950年代などは、フランスの方が格差が大きかったという事実が分かった。
歴史的文化的にこの最低賃金制度は変化していく。何故アメリカはこんなにも低くなった
のか?
フランスは物価が上昇する度に最低賃金を引き上げていく法律があった。アメリカにはこのフランスのような法律が存在しなかった。1980年台レーガノミックスでインフレにより、通貨価値も目減りしていくのと同時に最低賃金もどんどん下がっていった。
この最低賃金のデータを分析すると、所得上位層がさらに豊かになり、所得下位層はさらに貧困が増してきているという事実がある。
だからといって、最低賃金を一気に引き上げるとさらに失業率が増加する。徐々に最低賃金を引き上げていき、高い技能を身につけるように、教育にしっかり投資する事こそが格差を失くす最善策である。
教育と職業訓練の向上と賃金制度を一体になって進めていく事こそが大切である。
各国最低賃金制度がある国と無い国があり、全国平均制度も無い国があるので、各国で最低賃金制度の議論が大変活発になってきている。
・所得上位層の賃金問題
上記のような様々な問題がこの上位層には当てはまらない。各国とも同じである。アメリカなどでは、教育にも対して差がないのに所得格差は広がる一方である。
アメリカ、イギリスでは、最高税率を過去に引き下げたのが格差の原因の一部という見方も出来る。
CEOの莫大な報酬と生産性限界理論と見てみてもまったくつりあっていない。業界や会社が潤っていけば自然とCEOの賃金は上がっていくからである。この高額所得が問題になっている国は、最高税率を引き下げた国でもあるという事実がある。
今まで最低賃金制度をあまり意識しなかったが、この講義で最低賃金や教育がいかに大切なのか改めて理解出来た。所得と教育は表裏一体である。まずは、お金の教育を幼い頃から意識し、所得の格差に興味を持つ事から始めるのが大切ではないかと思う。
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