教育とはすなわち、技能の供給と置き換える事が出来る。社会の技術革新は技能の新たな需要を生み出す。社会の労働者を簡単に分けると、高技能労働者(高賃金)、低技能労働者(低賃金)の2つに分類される。
賃金の不平等は技能の差にあり、教育投資によって大きく左右されている。技術革新によって様々な分野の最先端需要が増えていくと高技能労働者の賃金がどんどん上がっていきここで格差が生じてくる。
所得の不平等が増加していくと、高技能労働者の数も自然と減ってくる。特に下位所得層50%の人々の大学進学率は30年間でまったく増加していない。逆に上位所得層は大学進学率がほぼ100%に近いデータもある。
事実として、大学進学者は頭打ちで、益々所得格差と労働格差は比例して増加していくという事である。 一般的に教育格差がスキル・プレミアムの上昇と賃金格差拡大の主な要因と考えられている。
格差是正の為には教育の格差と高等教育の機会均等を改める必要がある。特にハーバード大学などは年間5万ドルもの授業料を収める必要があり、この高すぎる授業料が格差の1つの原因と見てもいい。
この理論の問題は高い技能を習得する機会が誰にも平等にある訳ではないという問題である。フランスとアメリカの教育格差を比較すると格差の少ないフランスより、格差が多いアメリカの方が全体の教育レベルは高いデータもある。問題は高等教育にアクセスする時の格差の問題である。
能力主義などと理想は掲げるがこの教育の格差と所得の格差は密接にリンクしているので能力主義という理想に甚だ疑問が残る。上辺だけの言葉という見方も出来る。
いずれにしろシンプルに見ていくと、所得上位層が高等大学に進学する数が多く、所得下位層は高等大学に進むのは非常に困難である。もちろん全てではない。所得下位層から進学するケースもあるが、それは非常に稀な例であるという事だ。
高い技能を身につける為には、教育の普及が欠かせない。だが、所得格差により教育の格差が生じ、そこから所得格差が生じるという一連の連鎖がある。
今回の問題提起も皆が漠然と知っているようで知らない事であった。お金持ちはいい大学に進む確率が高い。低所得者は大学に進学する事自体困難という自然の流れだ。日本にも様々な制度があるにはあるが、学習塾や家庭教師などどうしてもお金持ちの方が有利だ。お金の問題をしっかり考える事こそが何よりの格差是正の一歩ではないかと思う。
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